どうぶつのつぶや記

『地方議会のあり方と議員の政策立案』

いよいよ今日から9月議会の一般質問が始まりました。
議会のあり方については、先日来、ピーマンさまからもご意見を頂戴していますが、ピーマンさまからのご意見も含め、議会自体がいろいろな取組を検討し、チャレンジしていかないと、政治に対する不信感、閉塞感はいつまでたっても払拭することはできないと思います。

私が、常日ごろ、議会に対して問題だと感じているのは、本来、市民の代表、市民の代弁者であるはずの議員の存在、個々の議員の活動が実際の市政運営にどう関わったのかが見えないということ。
さらに、個々の議員がどういうまちづくりを目指そうとしているのかを含め、選挙時の公約があまりにも抽象的すぎる、すなわち具体的な政策を持ち合わせていないことが、議論が必要な場で議論できない、理論武装ができない議員を生む要因になっているのではないかということです。
これは、実際に政策立案に深く、直接的に関われる立場ではないと考えることからくる弊害なのかもしれませんが、有権者としては、この議員はどんなまちづくりを目指しているのかとか、どの政策に力を入れ、どういう方向を向き、どんなアプローチで政策の実現を目指そうとするのかなど、できるだけ議員に関する多くの情報を市民が知るということからはじめないと、議員自身も手を抜くとまではいいませんが、大事な審議のをする時に自分の都合の悪いことにはだんまりを決め込んだり、責任を持たなくて済むような逃げの対応をしてしまうような気がしてなりません。
このことは、以前にもコメントとして述べたことです。


さて、今回のタイトル『地方議会のあり方と議員の政策立案』という卒業論文がインターネットに掲載されています。初稿は2004年とやや古いですが、地方議会における問題点を整理した上で、具体的な取組に対する提言が体系的にまとめてありますので、今回は、この論文とその中で私が関心を持って読んだ部分をご紹介したいと思います。

議会の停滞により生まれてくる弊害については次のようにまとめてあります。
(12ページより抜粋)
ア)活動に存在感がないため、市民が議会の存在に注意を払わなくなる
イ)関心がなくなり、投票率が低下していく
ウ)低投票率の選挙では組織票、高年齢の固定票が選挙戦を左右する
エ)特定組織や高齢者向けを意識した政策や、公約をアピールせざるを得ない。サービスの対象も彼らに収斂していく
オ)政策立案より地元サービスを重視する地元団体選出議員や腰掛議員が増え、執行部監視機能や政策立案機能は形骸化する
カ)緊迫関係にない執行部と議会の癒着、馴れ合いを生む
キ)不祥事が起きて益々市民の不信を招く


また、議会空洞化の主な背景としては、「議員の能力不足」、「議員を取り巻く環境」などが挙げられています。
『議員の能力不足』という項目では、
(16ページ抜粋)
「···年4回の定例会で一度も一般質問に立たない議員が少なからず存在することは紛れもない事実である。決して低からぬ議員報酬と民意の代表という立場にありながら、この実態が世論に受け入れられるとは思えない。選択と集中、費用対効果などニューパブリックマネジメントの概念は、行政のみならず、議会にも取り入れられるべきである。
また、二元代表性において首長と議員はともに有権者の信託を受けた存在であるが、一方の議員に立法者であるという認識は薄い。議会事務局や議会図書館の脆弱さも合わさって、立法ノウハウも蓄積されておらず、議員自身も政策立案のトレーニングを受けていないのが現状である。」

と指摘されています。

また、『議員を取り巻く環境』という項目では、
「一般的に地方議会の開催は100日前後。それ以外の日時は自分の家業にいそしんだり、地元選挙区の集会に出席することが議員の日常。「議会や政策の勉強をするより、後援会や老人ホームで歌っていたほうが票になる」とは某宮城県会議員の言葉である。4年に1度、失職のリスクを抱える議員たちにとっては、100人いるけれど30%しか投票しない若年層より、70人であっても投票する高齢者層に訴求する政策を掲げることが合理的選択といわざるをえない。」
と指摘されています。

その上で、
「後援会や老人ホームで歌っているより、政策を立案して執行部を監視し、議会活動をアピールしたほうが落選リスクを減らすことができると議員たちに思わせる環境作りも、実のところは重要な要素ではないだろうか」
「官民あげて政策重視の選挙文化を育んでいくための市民教育、地域文化の涵養という地道な努力以外に王道はないものと思われる。」

と結論付けておられます。

そして、地方議会改革の改善策については、次の項目が挙がっています。
(26ページより抜粋)
①議会としての広報戦略
②議員定数削減と立候補促進政策
③議員評価制度
④議長職の権限強化
⑤議会の監視機能の強化
 (ア)公聴会など議会として市民と触れ合う機会を増やす。···議会にも市民委員会、審議会など答申機関を設けることによって議会がシンクタンクを抱えることが可能になる。
 (イ)議会活性化のための視点として、全国統一でなくその自治体、自治体にあった会議規則を作っていくべきである。
 (ウ)一般質問などにしても、資料配布はもとよりパワーポイント、OHCなどビジュアル設備を取り込み、市民にわかりやすい議事運営をこころがける。
 (エ)議会の進行についても、対面形式、一問一答など一般質問形式の改善を行う。
 (オ)議会事務局スタッフの独自採用。議会独自がプロパーの職員を採用し、政策立案や議会運営の専門家を育成していく必要がある。



今回紹介した論文は、冒頭にも書いたように、初稿が2004年ですが、この時点で問題として挙げられているいくつもの項目や内容は、今もなお、真剣に向き合い考えていかなければならない重要な課題として立ちはだかっているものばかりです。
そして、文末にはこんな言葉が述べられています。
まったくそのとおりであると思います。
『では地方議会など不要であるかといえば、その活性化もまた強く時代の要請をうけているのである。
···すべからく我々の社会の根底にながれる正義や健全なる懐疑といった民主主義を支えるエレメントもまた、地方自治によって育まれている。
その一方の担い手である地方議会が、従来のフォロー的ポジションを再構築しながら新しい時代における自分の立ち位置を認識し、分権時代の議会の役割を積極的に掴み取っていく理論武装と心構えが、この瞬間に求められているのではないだろうか。
従来既存の地方自治論を踏まえた上で、これからの地方政治の可能性と潜在性に強く期待する。』



結局、最後は、議員一人ひとりが現状をどう認識し、問題点を解決するためにどう行動に移すかということだということに尽きるのかもしれませんが、論文作者が言うように、
「官民あげて政策重視の選挙文化を育んでいくための市民教育、地域文化の涵養という地道な努力」
が我々市民にも求められてくるのだと思います。
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by kkamoike | 2009-09-09 21:12 | Comments(0)