どうぶつのつぶや記

病院問題を見つめ直す(その1 ~医師不足の問題~)

元埼玉県庁職員で、自治体病院に勤務した経験を持つ伊関友伸さんは、自治体病院の経営問題に関して積極的な発言を続けてらっしゃいます。
「夕張問題」では市総合病院の病院経営アドバイザーなども務められていました。
あらゆる機会を通して感情論ではなく、熱い情熱と冷静な目で原因を掘り下げ、解決策を示しておられます。
そんな伊関氏が対談の席で発言されたコメントを参考にさせていただきながら、自治体病院を取り巻く問題点とこれからの地域医療のあり方を3回に分けて考えてみたいと思います。
1回目は、『医療制度改革に伴う医師不足を初めとした問題』を取り上げます。



まず、伊関氏のコメントをご覧ください。
①医療崩壊を起こさない、地域医療を守るという観点でみれば、総務省の公立病院改革ガイドラインは財政面に偏りすぎだ。3年をめどに収支を改善しろというのは、「もっと稼げ」、医師不足が深刻でも「入院ベッドを埋めろ」などということになり、医師のやる気をそいで退職させてしまう結果にもなりかねない。まず優先するべきは、地域医療を守ること。そのためには、医師不足の現状で医師が働きやすい環境をどうつくるのか。その議論を飛ばして、財政的な理由だけから病院を譲渡·廃止することになれば、混乱するだけだ。

②地域住民や議員にも、医師不足の原因の一端はあると考えています。公の病院ということで、好き勝手に振る舞う。軽症でも休日·夜間に受診するコンビニ救急がとても多いし、タクシー代わりに救急車を使う人もいます。飲酒して受診し、現場でトラブルになる事例も少なくないようです。こうした状況に対し、事なかれの行政は何も言えません。議員は、住民の代表として、住民に節度ある受診を訴えるべき立場にありますが、逆に特別扱いを要求したり、よく勉強をせず思い込みで「病院たたき」をする例も少なくありません。その結果、志のある医師ほど心が折れ、病院から立ち去ってしまう。そうした結果が、「医療崩壊」なんです。

③近年は首長選挙でも病院が争点になることが増えてきた。悪いことではないが、感情ではなく、きちんと議論がされるべきだ。政争の具にして首長や議員が口を出せば出すほど、医師がいなくなり地域医療は崩壊していく。

④すべての公立病院が厳しいわけではなく、医師が集まる病院と集まらない病院に二極化している。集まらない病院では残った人の負担が重くなってさらに辞めていくという悪循環になる。医師の待遇を改善し、やりがいのある態勢をいかにつくれるか。そこに地域がどう知恵を絞るかだ。




やはり、自治体病院が抱える問題の根底には、医療制度改革による影響、とりわけ「医師不足」の問題が大きく横たわっていることがよく見てとれます。
また、医師不足は単に、医師の数だけに起因するものではなく、医師を取り巻く全ての状況や環境とがセットになって、医師の疲弊を招いているのだとあらためて感じました。
したがって、医師不足の問題を改善していくには、ある病院単独の問題だけと捉えるのではなく、地域住民の理解や、他の医療機関との連携体制の構築など、ソフト面も含めたとろこをしっかりと議論していかないと、根本的な医師不足の問題解決にはならないのだと感じました。
私たち三木市民は、これらの問題をうやむやにしたまま(医療体制の見直しや再構築の確立をまたぬまま)で、新しい病院建設に着手したところで、また、病院から医師がいなくなるような事態にならないのかを心配しているのです。


最後に、ある番組で、伊関氏と対談された平井愛山 千葉県立東金病院院長のコメントを参考までに。
「もはや大学に頼ってみても地域の医療の再生はありません。地域に必要な医師を地域で育て上げることが必要です。それには、住民はもちろん、開業医や地域の薬剤師の協力が欠かせません。自(みずか)ら医師を育てる地域のみが医療を確保できる…これが医療再生のキーワードです」
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by kkamoike | 2009-08-14 21:19 | 三木市政 | Comments(2)
Commented by 公立病院の赤字 at 2009-08-15 13:12 x
市民2です。

医療を取り巻く問題は多々あると思います。
特に、産科医などは、過酷な労働状態と訴訟というリスクを背負わせられています。
しんどい目をして頑張っているのに、万が一何かがあると訴えられる。
単純に考えたら、そこまでしてお医者さんも産科になりたいとは思いませんよね。
小児科もそうかも知れませんね。
周りの環境が医師のやる気をなくして、結局自分たちの首を絞めているとしか思えません。

三木、小野、統合病院の件ですが、医者は神戸大学が派遣。
金銭的な負担は、すべて三木市と小野市が負担。
市長は、黒字になるとは一切言っていなくて、今の赤字が減ると言っているみたいですが。
しかし民間病院に委託して補助金を出して、市民病院を廃止という考えも十分あると思うのですが。
三木市の近くには新県立加古川病院もできるし、西神戸医療センター、がんセンターなどもあります。
市長は、自分が市長の時に市民病院がなくなったと言われたくないのでしょうか。

Commented by kkamoike at 2009-08-15 17:43
市民2さま
問題点がうまくまとめられている資料をご提供いただきありがとうございます。
市の財政力と公立病院の診療レベルは間違いなく比例するものだと思います。
言いかえれば、市の財政力に見合った医療体制というものを考えていかないと、たちまち市も病院も立ち行かなくなってしまうのだと思います。
そういう意味では、果たして、公立病院=総合病院にこだわる必要があるのかという疑問も沸いてきます。
資料にあった、「国や県や市の縦割り行政のため、人口密集地では地域の実情を無視した総合病院が乱立」という要因も、人口密集地ではないですが、三木市もこの要因があてはまるのではないかと感じたわけですが、それならそれで、そのマイナス要因を三木市の特徴として生かす方法もありではないかと感じました、
市民2さまがおっしゃるように、民間に委託できる部分は補助金を出したり、さらには、近隣にある県立病院などとも連携を取りながら、地域全体で協力体制を整備する方法なども模索してもよかったのではないかと感じました。その上で、本当に三木市に足りない部分を市が受け持つという発想があってもよいのではと感じました。